file82 遊泉寺銅山

市原猛志

【1772年~1920年/石川県小松市/銅鉱山精錬設備等】

 前日から降り続く雪が行く手を悩ませる。遊泉寺銅山は現在のコマツを設立した竹内明太郎の経営した銅山であったが、1920(大正9)年と比較的早期の閉山であったにもかかわらずかつての鉱山沿線にからみ煉瓦構造物が遺っており、2006年には遊歩道として整備されたというので、理事会の帰りに行程に入れてみた。
 実際に訪れてはみたものの、雪が降りすぎて、小学生でもハイキングコースで楽しめるはずの登山道が見えない。かろうじて野生の勘に頼り、いくつかの煉瓦造構造物は見えたのだが、これは撮直しになりそうだ。予定が詰まりすぎ、という背景はあるのだが、折からの体調悪化が拍車をかけ、丘を登っているうちに咳喘息がひどくなり、ゲホゲホと言いながら息苦しい状況で雪山のただなかで道に迷いかかるというのは、正直笑えない。ここで意識を失ってしまったら熊か狐くらいしか助けてくれなさそうだ。誰の手も借りず自力で降りることができたものの、このような状態はやるものではない、と歩きながら反省した。 
 
 
 
       

▲遊泉寺銅山に遺る精錬用真吹炉

 
 
      

▲銅鉱滓廃棄用の巻き上げ装置跡

 

      

▲麓に設けられた遊泉寺銅山跡記念碑