連載コラム: 『産業遺産巡礼』 2017.05.23

file18 赤尾木送受信所無線塔

市原猛志
 
【赤尾木送受信所無線塔(1938年竣工)鹿児島県大島郡龍郷町】
 
 今回、奄美大島での講演会を引き受けた最大の理由は、今まで行ったことの無いところに遺る近代化遺産を見たかったという部分が大きい。その行程のなかで、必須不可欠なものが、この無線塔である。見た目から分かる無骨さは、とりわけ周囲に大きな建造物が建っていない龍郷町・赤尾木地区にとってはランドマークであったことだろう。現在は県道82号線を挟む形で3本の無線塔が現存しているが、もともとの竣工当初は10本の無線塔があり、離島間の無線送受信に活躍していたという。
 そのうちの1本は道路のすぐ横にあり、接近も容易なので立ち寄ってみた。同じ無線塔であった佐世保市の針尾送信所のそれと比べると、規模もコンクリートの質も全然異なるが、米軍からの機銃掃射をうけた痕跡であるコンクリートの剥離部など、この存在自体が持つ戦争の記憶は、今もなお大きい。いや、今後ますます大きくなっていくことだろう。
 空港にもほど近く、名瀬地区まで続くバス路線沿線からも見ることが出来る。奄美大島北部地域において稀少な、戦争を伝える産業遺産である。
 
 
 
赤尾木送受信所無線塔

▲赤尾木送受信所無線塔(1938年竣工)鹿児島県大島郡龍郷町

 
 
 

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