連載コラム: 『産業遺産巡礼』 2018.02.23

file44 長崎県庁第三別館(旧長崎警察署)

市原猛志
 
【1923年竣工/長崎県長崎市/鉄筋コンクリート造2階建】
 
 金曜日の勤務を終わらせ、高速バスで長崎へ。着いた頃はいかに春先とはいえすっかり暗くなっていた。裏通りを延々と歩き、ようやくたどり着いたホテルの目前に、かつてと変わらず長崎県庁第三別館が立っていた。建物としては、角地に玄関を持っており、塔屋部分の丸窓などは当時の流行であったセセッションの雰囲気を思わせる。左右の非対象性は竣工当初は隣接する県庁との関連が強かったことだろう。1945年8月9日の原子爆弾に伴う火災によって隣接する県庁舎は全焼したが、この建物はかろうじて延焼を免れ、現在まで使用され続けている。
 関東大震災以前の鉄筋コンクリート造施設で、その動向が気になるところだ。県庁跡地の利用計画は、確かに長崎奉行所というロマンあふれるポイントを観光やまちづくりに利用できる数少ないチャンスであるが、被爆遺構でもある建物をむざむざ壊してしまうことが、本当に歴史の伝承となりうるのか、よくよく考えた上での議論を望みたい。
 
 
 
44-1-長崎県庁第三別館(撮影は2004年)-s

▲長崎県庁第三別館(撮影は2004年)

 
 
44-2-角部に玄関を設けたスタイルが印象的。-s

▲角部に玄関を設けたスタイルが印象的

 
 
 

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