連載コラム: 『産業遺産巡礼』 2018.07.23

file53 門司麦酒煉瓦館

市原猛志
 
【1913年竣工/北九州市門司区/鉱滓煉瓦造・鉄筋コンクリート造2階建】
 
 ゴールデンウィーク期間中、門司港界隈では各種のイベントが催され、多くの観光客でにぎわうが、そこから電車でふた駅のところにある門司駅北口の旧サッポロビール九州工場跡地周辺でも、毎年恒例の陶器展示即売会が行われている。会場の門司麦酒煉瓦館は、かつての工場事務所棟である。2000(平成12)年のビール工場閉鎖に伴って、地元との協議の結果、かつての工場の一部煉瓦造建築を活用する形でホールや資料館などが造られた。
 ドイツゴシック様式に忠実に基づいて、縦軸を強調しながらも、変化に富んだ造形をしている。茶褐色の外観は八幡製鐵所がかつて製造していた鉄鉱滓煉瓦を使用しているためで、赤煉瓦とは異なった独特の風合いを持ち、北九州周辺地域ではこのような色合いを持った煉瓦壁が多い。設計者の林栄次郎は福岡工業学校出身の建築家で、作品数は少ないが、周辺の海岸線エリアに遺る工場群の設計に関与したとみられる。景観として煉瓦造建造物群を一度見ることが出来る場所は、北九州でも数少なく、一度は夕日の時間に訪れて頂きたい。
 
 
 

▲門司麦酒煉瓦館

 
 
 

▲車寄せを設けない玄関部分

 
 
 

▲夏場になると麦酒用のホップを栽培している

 
 

▲中の一部は貸しギャラリーとして使用されている

 
 
 

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