弦書房週報 第22号

◎東京国際ブックフェアに出展してきました。7月8日(木)〜11日(日)の4日間で8万7000人もの人が来場したようです。来場者の中で強く印象に残っていることばがあります。中学生の女の子と母親が歩きながら「本を展示して売っているだけなんだね……」という会話が多くの声の中でかすかに聞きとれました。広い会場は基本的にはそのことば通りなのです。本ができるまでの工程やなぜその本が生まれるに至ったのかがわかるようにはなっていません。電子書籍についてもそれが本当に必要なのかどうかは誰も語ってはくれません。いったい誰のためのブックフェアなのか、それを考えさせられる4日間でした。

◆前回もお伝えしましたが、本年度の地方出版文化功労賞に『鯨取り絵物語』(中園成生/安永浩、定価3150円)が選ばれました。昨今の捕鯨問題、また海水中の水銀問題などから離れて、鯨と人間(日本人)の長いつきあいをじっくり読んでください。

◆「靖国」ということばが出てくる暑い夏がやって来ました。もともとどういう場所として誕生したのでしょうか。源は長州にあるようです。『靖国の源流』(青山幹生/青山隆生/堀雅昭、定価2205円)。戦後の靖国とは異なる幕末の靖国の姿を描いています。

◆九州にある街道で、長崎街道に次いで人気のあるのが、大分と熊本を結ぶ「豊後街道(肥後街道)」。阿蘇・九重の山なみを眺めながら歩くイベントも活発に開催されています。大河ドラマ「龍馬伝」で話題の坂本龍馬や勝海舟も今と同じ風景を見ながら歩いています。『豊後街道を行く』(松尾卓次、定価1785円)

(表示定価は全て税込)