彼ら彼女たちの存在がなければ、戦後復興はなかった――昭和30年前後から昭和50年代前半にかけて、〈集団就職〉という社会現象が存在した。中学卒の少年少女たちがまさに出征兵士のごとく、東北から関東方面へ、九州・四国・沖縄から京阪神・中京方面へ、企業側の求人に応じて就職していった。彼ら彼女らの存在がなければ戦後復興も経済成長もなかった。本書では、〈集団就職〉の実態を、主に西日本域出身者たちへの聞き書きにより明らかにし、現代史の中で正当に評価しようと試みた。さらに、働くことの本質を集団就職体験者たちの言葉から問い直した力作。
序 章 見送る人たち
出征兵士を見送る思いだった
第1章 京・阪神で働く
仕送りすることだけを考えていた
第2章 中京で働く
強盗に初任給を奪われる/手に職を持った誇り
第3章 関東で働く
境遇は選べないが生き方を変えることはできる
第4章 僕らは南の島からやって来た
沖縄から来て働くということ
第5章 年季奉公
働く者に貧乏なし
第6章 隔週定時制高校
大きな財産として自分を支えている
第7章 いま、働くことの意味を問う
彼らの果たした役割
[付] 集団就職をめぐる年表
澤宮 優
1964(昭和39)年、熊本県生まれ。ノンフィクション作家。青山学院大学史学科卒、早稲田大学日本文学専修卒。『巨人軍最強の捕手』(晶文社)で第14回ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。昭和の庶民史をテーマに幅広く執筆。主な著作に『昭和の仕事』(弦書房)『イラストで見る昭和の消えた仕事図鑑』(原書房)『廃墟となった戦国名城』(河出書房新社)『「考古学エレジー」の唄が聞こえる――発掘にかけた青春哀歌』(東海教育研究所)『ひとを見抜く――伝説のスカウト河西俊雄の生涯』(河出書房新社)ほか多数。
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