◆『逝きし世の面影』(平凡社、1995円)という本がよく売れています。この本は、藤原正彦氏の『名著講義』(文藝春秋、1575円)の中で、12冊の名著のなかの一冊としても取りあげられ、学生たちにも感銘を与えています。
その著者、渡辺京二さんの『江戸という幻景』(小社刊、2520円)が第5刷となりました。維新以前の江戸時代がいかにすばらしく、またいかに特殊な世の中だったのかのかがわかります。まだ読んでいない方はぜひご一読ください。日本人であることに自信をもつことができるようになります。
→渡辺氏関連の小社刊行書:『渡辺京二対談集 近代をどう超えるか』(1890円)『アーリイモダンの夢』(2520円)
◆水俣病問題は決して終わってはいないということを、この本『なぜ水俣病は解決できないのか』(2205円)を読んで知ってください。
最近の新聞報道でも、現在水俣病事件を取り巻くありようが1995年の和解案提示と同じ構造であることがよく分かります。戦後処理、原爆症認定、カネミ油症問題、ハンセン病問題などと同様に、水俣病問題は解決までにあと何十年かかるのか分からないというのが現地支援者たちの見解です。
→『宝子たち《胎児性水俣病に学んだ50年》』(2100円)『水俣を見た7人の写真家たち』(2500円)
◆北九州市立文学館で企画展「筑前のおかみさん 東路をゆく―田辺聖子『姥ざかり花の旅笠』と小田宅子『東路日記』―」が開催されています(~4月11日〈日〉)。小田宅子は近世の旧遠賀郡底井野(現・中間市)の商家夫人で、俳優・高倉健氏のご先祖。53歳の時に友人らと約5カ月間、800里の旅に出て、その後旅日記『東路日記』を著しました。この『東路日記』をモデルに田辺聖子さんが書かれたのが『姥ざかり花の旅笠』(集英社)。どちらも江戸時代の女性のアクティブさがうかがえ、大変おもしろい本です。
同展では宅子に関する資料、田辺聖子さんの『姥ざかり花の旅笠』執筆時の資料とあわせ、宅子と共に国学者の伊藤常足に学び、旅日記や歌集を残した同時代の筑前地方の女性たちについても紹介しています。
→『近世地方女流文芸拾遺』( 4515円)『筑前の国学者伊藤常足と福岡の人々』(2520円)