弦書房週報 第11号(2010.2.5)

九重山 法華院物語〈山と人〉◆10号でもご紹介した『九重山 法華院物語〈山と人〉』(予価2100円)。九重山がなぜ魅力ある山として知られるようになったのか。その歴史と自然を世に広めた6人の山男たちの物語を中心に、この本でしか読めない九重山群にまつわるエピソード(坊がつる・法華院に伝わる「九重山記」、坊がつる讃歌、やまなみハイウェイ、川端康成と九重、あせび小屋、他)を集めています。編者は坊がつる讃歌の作詞者、松本征夫氏・梅木秀徳氏です(松本氏の・征・は実際はつくりに正を二つ重ねたもの)。

日本の阿蘇から世界の阿蘇へ--阿蘇ジオパーク推進協議会が中心になって進めています。2011年の夏~秋頃の「世界ジオパーク」の認定にむけて、地元では価値ある遺産、ガイドの整備、運営組織などを整えています。
→『阿蘇森羅万象』(2205円)は、阿蘇全体の魅力を、自然博物誌的な観点から体系的にまとめています。

2010年は「国民読書年」。財団法人「文字・活字文化推進機構」を中心に、関係各界の動きが活発化しています。新刊の書物の声 歴史の声』(2415円)も、読書の楽しみが満喫できる一冊です。
2月2日付「産経抄」に本書が取り上げられています。また、著者の平川祐弘氏が「正論」2010年3月号の「私の写真館」に登場なさっています。

福岡県立美術館で「2つの美術山脈 修猷館と明善に集った美術家たち」が開催中です。福岡と久留米の藩校に始まり、長い歴史を誇る福岡県立修猷館高校と同明善高校。両校は児島善三郎、中村研一、中村琢二、青木繁、古賀春江など多くの美術家も輩出しています。この2つの学校にかかわる美術家をとりあげ、福岡の近代美術の新たな一面を探る展示です。
野十郎の炎』(1890円)の高島野十郎は明善高校、『山と水の画家 吉田博』(2205円)の吉田博は修猷館高校の出身です。
開催期間:2010年2月5日(金)~3月14日(日)

福岡市美術館で行われた「所蔵品によるアートセミナー」に参加してきました。今回取り上げられたのは吉田博、講師は『山と水の画家 吉田博』著者の安永幸一氏。毎年2~3月開催のこのセミナーは、少人数で同館の収蔵品を間近に見ながら、館外の専門家のお話を聞けるのが特長。今回も30人ほどの参加者で、吉田作品(今日は木版画。素晴らしかった!)と安永さんのお話を堪能しました。質疑応答で安永さんが最も好きな吉田作品として挙げられた油絵『渓流』は、現在同館の常設展示室で見ることができます。
次回は来年の開催になりますが、同館ホームページなどで情報をチェックしてみてください(事前の参加申込が必要です)。

(表示定価は全て税込)