紹介
熊本藩の飛び地・豊後鶴崎は、参勤交代の港町として栄えたことで知られている。大野川の河口に位置し、堤防で囲まれた川の中の小島=輪中で生きる人々の特異な生活形態を克明に踏査した労作。5~10年に一度の割合で洪水被害にあうにもかかわらず、なぜこの輪中の中で暮らし続けるのか。また、京都大坂と長崎を結ぶキリスト教布教の拠点でもあり、多くの刀鍛冶が住み数々の名刀を生み出した独特な地域が当時の面影を宿しながら今も生きている。ほとんど知られていない輪中の世界に光をあてた画期的な一冊。
目次
第一章 高田輪中 第二章 輪中の「現」風景 第三章 輪中の洪水史――防災と祈り 第四章 輪中の近代 第五章 江戸後期の輪中 第六章 輪中の刀鍛冶と野鍛冶・入鎌師 第七章 長崎と近畿の結節点・高田輪中
著者
長野 浩典
ながの ひろのり
1960(昭和35)年、熊本県南阿蘇村生まれ。1986(昭和61)年、熊本大学大学院文学研究科史学専攻修了(日本近現代史)。歴史研究家・作家。主要著書 『街道の日本史 五十二 国東・日田と豊前道』(吉川弘文館)『熊本大学日本史研究室からの洞察』(熊本出版文化会館)『緒方町誌』『長陽村史』『竹田市誌』(以上共著)『大分県先哲叢書 堀悌吉(普及版)』(大分県立先哲史料館)『ある村の幕末・明治―「長野内匠日記」でたどる75年』『生類供養と日本人』『放浪・廻遊民と日本の近代』『西南戦争民衆の記―大義と破壊』『川の中の美しい島・輪中―熊本藩豊後鶴崎藩からみた世界』『感染症と日本人』『花山院隊「偽官軍」事件―戊辰戦争下の封印された真相』『新聞からみた1918―大正期再考』(以上弦書房)
弦書房より発行の関連書籍
西南戦争 民衆の記 | |
放浪・廻遊民と日本の近代 | |
ある村の幕末・明治 | |
関門の近代 | |
生類供養と日本人 |