【1917年/三重県伊賀市/木造3階建】
伊賀市内に着いたのが、もうすでに夜中であったため、駅舎のプロポーションを見ずにそのままホテルに入った。朝出発の時間となり、駅へと向かうとその姿は実に大胆なつくりをした駅舎を見ることができる。
近畿圏の内陸部ではあまり見たことのない、傾斜の強い屋根勾配とその建物としての高さは、なるほど木造三階建の堂々としたたたずまいである。
一階部分は駅舎としての最低限の機能が入っているため、二階部分以上は鉄道会社としての事務的な機能があるのではないだろうか。あるいはただの倉庫か。
現役の施設ということもあるからか、適度に改修が施されていて目立った装飾もほぼなく、のっぺりとした外観となっているため、かえって古い建物だとは判別しがたい。
ただ、今どきこのような大ぶりの駅舎建築は、土地の効率的利用から採用される橋上駅舎でもない限りそうそう造られることはないので、そこにたたずんでいるだけで文化財レベルの名駅舎だといえよう。