市原猛志
【1963年/埼玉県新座市/鉄筋コンクリート造】
建築家アントニン・レーモンドの作品は、戦前戦後を通じて日本に少なからず遺されており、北九州市内にもかつては八幡製鐵体育館や安川電機本社など象徴的な作品を見ることができた。そんなレーモンドの作品の中でも、象徴的なチャペルが埼玉県で現役の大学施設として使用されており、かねがね見学の機会をうかがっていたのだが、自分自身の研究報告会で東京に行く機会に合わせる形で、立教大学新座キャンパスの公開日に建築仲間と訪れてみた。キャンパスの入り口から正面にそびえるチャペルは、逓信省営繕課もかくやと言わんばかりの放物線アーチが特徴的な建物で、アーチ内部には矩形や三角形など様々な形をした左右対称の小窓にステンドガラスがはめ込まれている。そこからは零れ落ちる光が、内部を様々な色合いに染めていく。竣工年代は高度成長期のただなかにありながら、その構造体としての表現に富んだ、大学チャペルとしての名作のひとつに挙げられよう。