2011年、日本初のユネスコ「世界記憶遺産」に山本作兵衛の炭坑画や日記などが登録された。《山本作兵衛コレクション》なぜ評価されたのか、そこには何が描かれているのか。作兵衛画は芸術か、記録画か――絵画、石炭産業および近代史に精通した5人が、あらためてその価値と魅力の原点に迫る。
【目次 ※抄録】
・いま山本作兵衛画の何を問題にすべきか〈有馬学〉
・世界記憶遺産と世界遺産をつなぐもの〈マイケル・ピアソン〉
・山本作兵衛炭坑記録画から見た筑豊炭田〈福本寛〉
・山本作兵衛作品と筑豊地域社会〈田中直樹〉
・山本作兵衛の絵を読み解く〈菊畑茂久馬〉
・山本作兵衛はなぜ絵を描いたのか
*山本作兵衛作品約50点を収録(カラー・モノクロ)
有馬 学
1945年北京生まれ。東京大学大学院博士課程満期退学。九州大学名誉教授。専門は日本近代史。現在、福岡市博物館館長。著書に『日本の近代(4) 「国際化」の中の帝国日本』、『日本の歴史(23) 帝国の昭和』、『日中戦争期における社会運動の転換─農民運動家・田辺納の談話と史料』など多数。
マイケル・ピアソン
先史歴史考古学者。世界遺産コンサルタント。山本作兵衛の炭坑の記録画等を世界記憶遺産に登録推薦するに当たり、田川市と福岡県立大学の登録推薦に関する代理人を務めた。
福本 寛
1975年生まれ。九州大学文学部(考古学専攻)卒。田川市教育委員会文化課。
田中 直樹
1942年生まれ。日本大学名誉教授。日本石炭鉱業史の研究に従事。
菊畑 茂久馬
1935年長崎市生まれ。画家。福岡市在住。長く美學校講師を務めた。主なシリーズ作品に「奴隷系図」「ルーレット」「天動説」「月光」「舟歌」「天河」など。著書に『フジタよ眠れ』『反芸術綺談』『天皇の美術』『絶筆』『戦後芸術の原質』『菊畑茂久馬著作集(全4巻)』など多数。
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