渡辺京二論
隠れた小径を行く

352頁
978-4-86329-299-4
定価 2200円 (+税)
2024年11月30日発行
紹介

著者は渡辺京二研究の第一人者。92年の生涯を通して一貫してぶれることのなかった渡辺の思想と歴史認識はどこから来るのかを基本的かつ意外な観点から教えてくれるのが本書だ。この偉大な思想家は、歴史を叙述するにしろ、発言するにしろ、ひとつの新しい事実や解釈を自らが生きるための支えとして研究し叙述し公表した。『小さきものの死』から『逝きし世の面影』さらに『小さきものの近代』まで、〈近代〉の実像を描こうとした数々の名著の舞台裏を、さらに具体的に案内してくれる画期的な一冊。

目次


第 一 章 幸福な少年期とその終焉
第 二 章 大連、そして世界の終わり
第 三 章 共産党体験と思想の目覚め
第 四 章 闘病体験と若き日の恋
第 五 章 小さきものの挫折
第 六 章 吉本隆明と谷川雁
第 七 章 水俣病闘争と「もうひとつのこの世」
第 八 章 時局論交回復への冷静な視点
第 九 章 処女作『熊本県人』
第 十 章 『ドストエフスキイの政治思想』


第十一章 神風連―反近代の極北
第十二章 西郷隆盛―明治帝国への反抗者としての西郷
第十三章 宮崎滔天―アジア主義を脱した民衆コミューンへの夢
第十四章 北一輝―日本についに着地できなかった純正ファシスト
第十五章 昭和の逆説―民衆が夢見た戦争共同体
第十六章 地方の消失と辺境の解体
第十七章 なぜいま人類史か(1)―師、佐藤秀人との出会い
第十八章 なぜいま人類史か(2)―歴史主義の擁護とポストモダンとの闘い
第十九章 パステルナークとソルジェニーツィン―ロシアにおける小さきものの生
第二十章 ローレンツとイリイチ
第二十一章 石牟礼道子と神話の復権


第二十二章 逝きし世の面影―滅び去った文明
第二十三章 パックス・トクガワーナの多彩な人々
第二十四章 戦国乱世と徳川の平和―「中世の自由」の虚妄を撃つ
第二十五章 黒船前夜―ありえたかもしれないもうひとつの「開国」
第二十六章 バテレンの世紀
第二十七章 小さきものの近代―もうひとつの「近代」

著者

三浦 小太郎

みうら・こたろう

昭和三五(一九六〇)年東京生まれ。獨協学園高校卒。アジア自由民主連帯協議会事務局長。北朝鮮やアジア諸民族の問題に取り組んでいる。雑誌「正論」「Hanada」「月刊日本」などに執筆。著書に、『ドストエフスキーの戦争論』(萬書房)、『信長 秀吉 家康はグローバリズムとどう戦ったのか』(ハート出版)、『評伝 渡辺京二』(言視舎)、『日本人になったウイグル人たちに中国がやっていること』(産経新聞出版)、『嘘の人権 偽の平和』(高木書房)、編著に、『よそのくに』(晩聲社)など。
 

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